「会社を大きくする方法は、IPOだけではありません」
近年、スタートアップ業界で静かに、しかし確実に広がりを見せているのが、M&Aという選択肢です。
かつては「事業承継」のイメージが強かったM&Aですが、今は「事業成長」の手段として、多くの経営者から注目を集めています。
「IPOを目指していたけど、M&Aに切り替えた」
「創業から数年、次のステップに進むためにM&Aを選んだ」
そんな声も、決して珍しくありません。
今回のブログ記事では、
- なぜ今、スタートアップ業界でM&Aが注目されているのか?
- IPOとM&A、どちらを選ぶべきなのか?
- スタートアップがM&Aで成功するための秘訣とは?
といった疑問について、紹介をしています。スタートアップ経営者の方も、M&Aに関心のある方も、必見の内容です!
M&Aの新たな潮流:M&Aの可能性

M&A 1.0から2.0へ:事業承継型から事業成長型へ
これまでのM&Aは、後継者不足に悩む中小企業が、事業を存続させるための手段として捉えられていました。
国内には約350万社もの企業があり、そのうち60万社が後継者不在という問題を抱えています。これらの企業がM&Aで譲渡されることで、事業承継マーケットは今後も拡大していくでしょう。
しかし、ここ最近はその様相が変わりつつあります。
スタートアップが大手企業の傘下に入ることで、資金力やノウハウを得て、更なる成長を目指す。
あるいは、複数の企業をM&Aで統合し、業界のリーダーとなる。
そんな「事業成長」を目的としたM&Aが、増え続けているのです。
大手企業に株式を持ってもらい成長を目指したり、創業から数年後にバトンタッチを考えている企業など、新たなニーズも増えています。
スタートアップがM&Aを選ぶ理由:IPOだけが成功への道じゃない

なぜ今、スタートアップはM&Aを選ぶのでしょうか?
その背景には、以下のような要因が考えられます。
- 市場の変化のスピードが速い:技術革新が激しく、競争環境も常に変化しているため、迅速な意思決定と実行が求められる。
- 人材不足:優秀な人材の獲得競争が激化しており、自社だけで成長を続けるのが難しい。
- 資金調達の多様化:ベンチャーキャピタルからの資金調達だけでなく、M&Aによる資金調達も選択肢として認識されるようになった。
- Exit戦略の多様化:IPOだけでなく、M&AもExit戦略の一つとして検討されるようになった。
特に、IPOのハードルが高いことも、M&Aが注目される理由の一つです。
スタートアップに流れてくる資金はここ10年で10倍になっていますが、IPOの数は年間100社程度に留まります。スタートアップに絞ると50社程度です。
どうしてもExitの選択肢が限られているため、より簡便に選択のできるM&Aの活用が今後ますます増えていくと考えられます。
IPO vs M&A:創業者利益はどっちが多い?

IPOとM&A、どちらが創業者にとって有利なのでしょうか?
一般的に、IPOは「夢」を、M&Aは「現実」を象徴すると言われます。
IPOは、企業価値を高め、社会的な信用を得る上で大きなメリットがありますが、上場準備に時間とコストがかかる、株価が市場の動向に左右される、などのデメリットも存在します。
一方、M&Aは、短期間で資金を調達し、創業者利益を確定できるというメリットがありますが、企業文化の融合や従業員の処遇など、解決すべき課題も存在します。
IPOの場合、上場時に株式を売却できる数は限られています。
上場後に株式を担保に借り入れをすることもできますが、M&Aであれば、株式を現金化できるため、創業者利益をすぐに得ることができます。
スタートアップのM&A成功の鍵:無形資産の評価とPMI
スタートアップがM&Aで成功するためには、どのような点に注意すべきでしょうか?
- 無形資産の評価
- PMI(Post Merger Integration:経営統合プロセス)
の2つが重要だと言えます。
1. 無形資産の評価
スタートアップの価値は、必ずしも売上や利益といった数字で測れるものではありません。
革新的な技術、優秀な人材、独自のノウハウなど、目に見えない「無形資産」こそが、スタートアップの真の価値なのです。
M&Aにおいては、この無形資産を適切に評価し、価格に反映させることが重要になります。
スタートアップに対する理解度が低いと、無形資産を評価できません。何がすごいのか、どのような潜在能力があるのかを見抜ける人材が必要です。
2. PMI(Post Merger Integration:経営統合プロセス)
M&Aは、あくまでスタート地点に過ぎません。
M&A後、両社の企業文化やシステムを統合し、シナジーを生み出すPMIこそが、M&Aの成否を左右する鍵となります。
特に、スタートアップの場合、大企業との企業文化の違いや、意思決定のスピードの違いなどが、PMIの障害となることがあります。
PMIを成功させるためには、
- トップダウンだけでなく、現場レベルでのコミュニケーションを密に行う
- 両社の従業員が納得できる人事制度や評価制度を構築する
- 経営統合の目的やビジョンを明確に共有する
といった対策が必要になります。
M&Aはスタートアップの成長を加速させる起爆剤
スタートアップにとって、M&Aは単なるゴールではなく、いわば成長のロケットエンジンです。
事業を加速させ、新たな市場へと瞬時に進出し、グローバル展開を現実のものとする可能性を秘めています。それは、自社の技術やサービスを飛躍的にスケールさせる、戦略的な一手となり得るのです。
しかし、M&Aは甘い誘惑であると同時に、リスクも伴う複雑なプロセスでもあります。
成功の鍵を握るのは、入念な準備と戦略的な思考です。
まずは、M&Aの専門家を頼り、客観的な視点を取り入れましょう。そして、自社の強みと弱みを徹底的に分析し、M&Aによって何を実現したいのか、明確な目標設定がなにより重要です。
さらに、M&A後の統合プロセス(PMI)は、成否を分ける最重要ポイントです。
企業文化や業務プロセスの融合を丁寧に計画し、従業員の不安を解消することで、スムーズな移行を実現できます。M&Aは、一朝一夕に成功するものではありません。
M&Aは使い方を知ることで強力な武器にすることができます。是非しっかりと知識を身に着けて、さらなる事業の成長につなげていただければと思います。
